中学校ではこれから陸上記録会や学校祭を迎えます。これらの行事をとおして学級の団結力を高めようと工夫されている方も多いことでしょう。
私は過去に担任したクラスで学校行事を通して徹底して1つのことを訴え続けたことがあります。それは「勝ち負けだけが全てではない」ということです。おそらく同じようなことを語られる先生方は多いと思いますが、私はこのことをことあるごとに語り続けました。この学級では「結果よりも大切なものがある」というのが1つの合言葉にすらなっていました。
一方、別の学級では学校行事ではとにかく勝つことを標榜してきたこともあります。どうすれば賞が取れるか、どうすれば記録を伸ばせるか、そういったことを目的に据えました。勝利が学級にもたらすものは大きいと思います。
おそらく前者の学級の卒業生たちは私が後者の指導法をとっていたことを知ると驚くでしょう。もちろん後者の学級も同様です。なぜならそれだけ徹底して年間を通して同じメッセージを送り続けていたからです。しかし私は意図的にこれらを使い分けていたつもりです。それは「新たな価値観を提供する」というものです。前者の「勝ち負けが全てではない」という指導は結果主義的な空気があった学級で、後者の「勝利を目指す」という指導は競争の経験の乏しい学級でした。
今接している子どもはいつか社会に出て、そこでいろいろな価値観に出会います。それらに対応するには子ども自身が多様な価値観に触れておくことが大切です。しかし子どもは私たちが考えているよりも狭い価値観しか持ち合わせていません。そこで学校行事を通して子どもに新たな視点を与えるということを意図的に行っていくのです。学校行事では集団づくりはもちろん、その集団にない価値観を提供するチャンスとして捉えるようにしています。
(髙橋和寛)
(髙橋和寛)
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