2014年11月19日水曜日

思考停止にならずに、可能性を探り続ける


当たり前過ぎて「どうして」とか「なぜ」ということを考えずに、こういうものだと子どもたちに教えてしまっていることは、私たちの日常生活にたくさんあるのではないでしょうか。決めつけたり、思考停止になったりすることなく、考え続けられることは大切な力だと思います。

前任校の校長先生が書道の大家でした。中学2年の短歌の単元と書写を関連付け、「色紙に自分のお気に入りの短歌を筆で書こう」という授業をした時、いくつかモデルとなる短歌を半紙に書いてくださりました。それを授業で子どもたちに提示すると、一枚一枚の美しさに見惚れながら、少しでもそのモデルに近づけるようにと試行錯誤する姿が見られました。良いモデルは子どもたちのモチベーションと質の向上につながります。その書は、転勤した今でもとても大切にしています。

先日、久しぶりにその半紙を授業で使おうと取り出してみて、あることに気がつきました。半紙のザラザラした面に書いてある、ということです。書写の授業で半紙を用いる際、「ツルツルしている方が表です」と教えています。子どもたちも小学校からそのように教わってきているのか、当たり前のように「こっちが表」と半紙を使います。それなのに、書道の大家はザラザラの面を使っている。これは一体どういうことでしょう。

今週、札幌で北海道の石狩・後志・空知管内の先生たちが集まる教育課程改善協議会が行われました。二日目は各教科に分かれて、改善のポイントを踏まえてレポート交流や演習です。たまたま同じグループになった先生の中に、書道を専門としている中学校国語の先生がいたので、この疑問を投げかけてみました。すると、その先生もザラザラの面で書きなさいと指導しているとか。ツルツルした面で書くのがいいというのは、高価な半紙であれば言えることのようで、私たちが授業で使っているような半紙はあまり高価なものではないことが多く、必ずしも表面で書くほうがいいとは言えないそうです。その先生の話によれば、ザラザラした面を使ったほうが筆の引っかかりがあり、書きやすいのだそうです。普段はあまり気にも止めないような「にじみ」や「かすれ」の話なども聞き、同じグループのほかの先生もこれまでの指導と異なる意見に驚いていました。

ザラザラした面で書いていようものなら、「あなた、間違っていますよ」「こうじゃなきゃいけないのですよ」と注意するくらい自明のことだと思っていたことも、実はそうでもないということを知りました。私も「知らない」ことがたくさんあります。知ったようでいて、実はもう一枚裏側があると思っているくらいがちょうどいいのかもしれません。(米田真琴)

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