1学期が終わった。学期末に実施したアンケートや面談を通して感じることは、多岐にわたる。
その中でも、一番注目したのが、「意欲」。教科に対して。委員会やクラブ、行事に対して。友達関係に対して。それらをひっくるめて学校に対して。「できる・できない」の前に、いかに「やってみたい」「頑張りたい」という意欲を高めることができるか。それが1学期の重点課題だった。子どもも私も、まだ成果を実感はしていない。2学期からまた改善・継続した取り組みを準備する、そんな夏休みになっている。
すると思わぬところで大きなヒントを得た。先日、我が子と甥を連れて、陸別町の銀河の森天文台へ。我が子は3歳。行った時間は夜の8時で、天候は雨・・・。娘にとっては、眠たくなる時間に、雨の中、興味のない場所へという「意欲」が高まるにはあまりにも厳しい条件だった。
しかし、それから2日たった今でも、「もう一度天文台で、月を見たい!」と訴える。それほど興味をもち、意欲的なのだ。その要因はただひとつ、天文台スタッフとの出会いである。
悪条件だったため、せめて日本最大級という望遠鏡を見るだけでも、と思っていた私達を待っていたのは、そんな思いを吹き飛ばす爽やかな笑顔のスタッフ。子どもでもわかるように、しかしその凄さも感じられる説明をしながら、実際に望遠鏡を動かしてくれたのだ。雨で星が見えない中でも、せっかく来た子どもたちを喜ばしてくれるために。
そう思っていたが、違ったようだ。厳しい条件下でも、本気で何とか見える星を探してくれていたのだ。来場者は私達だけである。こんな雨の中、来る人などほとんどいないのだろう。「今日は無理ですね・・・」の一言で終わると思っていた私にとって、そのスタッフの行動は衝撃だった。大人は子どもに対して諦めさせることが少なくない。しかし、このスタッフからは、「大丈夫。必ず見えるから!」というメッセージがひしひしを伝わってきたのだ。まったく興味のなかった娘も、だんだん星を見るのが楽しみになってきた。スタッフは外にある双眼鏡にも手を伸ばし、文字通り駆け回って下さった。
そして、とうとうその時がきた。丸い月が、望遠鏡の中いっぱいに見えたのだ。驚き何度も覗いては喜ぶ娘。そんな娘を温かく見守るスタッフの方は、汗だくだった。
「意欲」を高める手段は無数にある。ただ、どれも万能ではないし、時に手段を実行することが目的になってしまう。1学期の私もそうだった。策におぼれていたのだ。
やはり教え導くものが、そのことに対して興味をもち、その楽しさやおもしろさを実感していなくては、伝わらないのだ。あたりまえと言えばその通りである。しかし、今の私にとっては、月を見るたび思い出す、親として教師として貴重な時間となった。
(西村 弦)
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