2015年7月18日土曜日

Learning性を前提としたActive性ということ(2015/07/18)

1 ALを考える切り口を探す
AL(アクティブ・ラーニング)についていろいろと考えた。
これからさきの授業研究の中で、避けては通れないキーワードである。新しいものがやってきたととらえるのではなく、普通の授業の中に「ActiveLearning的なるもの」を発見していこうというのが、今のところの僕の戦略である。とはいえ、ファシグラとかアフォーダンスとか言ってる僕の「普通の授業」感は、あまりあてにならないから、もうちょっと違った視点はないかなと考えている。
その中で、「ALのActive性と、Learning性をそれぞれどのように考えていくのか」という着想をえた。
何かいい材料がないかなぁとぼんやりしてたら、研究仲間の鹿野哲子さんからヒントをもらった。
「でもさ、マクドできっちり働ける高校生は結局スタバでもイケる気がする。」
これは、FBの「ノート」に綴った駄文へのコメントである。

2 Active性とLearning性
...
なるほど。ぼくはちょっと立ち止まって考える。
言葉は道具だ。考える道具だ。
考えたことを、言葉として取り出すと、取り出されたそれを材料にしてまた考えることができる。
さて。
先ほどの「ポストフォーディズム」を材料にしてみよう。
マクドナルドのバイトはLearning性が高ければ、それでいけた。それだけでいけるように環境が整えられ、客も環境調整により、「教育」されていた。
スタバ店員は、それに加えてActive性まで求められる、ということだ。客の要求水準も高くなり、そしてそれは「変質(個性化・感性化)」を伴う高水準化だった。
 
3 二つに「順序」をあてはめてみる
(1) 「きっちり」の中身
哲子さんのコメントにある「きっちり」。これがポイントなのだろう。座学で身につけるべき内容は「きっちり」学び、その上でさらにActive性を発揮しなければならないところに、現在の複雑化した社会に生きる難しさがあるということだと思う。
マクドで「きっちり」働ける能力というのは、マニュアルに従うのではなく、マニュアルに定められた手順とその思想を正しく咀嚼し、行動に反映させられる能力であろう。そうではない状態を考えるとよりわかりやすい。例えば、ストローの包装紙を、口を付ける部分を残して渡すサービスである。数年前に堀さんがブログかFBかに、一度外した包装紙をわざわざもう一度被せているバイトをみて、マニュアルに縛られてその意味を理解しないことを嘆いていたことがあった。ストローに直接手を触れないままで、衛生的に渡すという目的を理解せずに、手で、飲み口のところをつまんだバイト学生は「きっちり」は働けていない。
(2) 順序とは何か
このように考えると、Active性というものは、精度の高いLearning性を前提としないと発揮されないと言える。言い方を変えよう。価値あるActive性というのは、確かなLearning性を前提としている。これは、極めて限定的にいえば、出力の価値を決めるのは、入力の質の高さといえる。例えばピースの又吉が芥川賞をとったことについて、池田修さんが「入力のないところに出力はない」と指摘し、又吉の読書体験の豊富さに言及していたが、そういうことだと思う。それから多賀さんと堀さんの共著における対談。あれもそうだ。対談というActiveなコミュニケーションをエンタテイメントにまでしているのは、それまでの恐るべき読書量と実践と、その分析とを確かに重ねているお二人の入力に、決定的な一般人との差がある。
ここまで考えたときに、これから先の数年の間に提案されるActiveLearningと称される実践群をみるための視点が得られる。
「そのActive性は、確かなLearning性を前提としているか」である。単元の計画の中に、そのような構造が位置付いているか。そこから授業をみることで、いろんなことが引き出せるのではないだろうか。こういう仮説を得た。
(3) それは一方向ではない
前節までを書いて、Learning→Activeという一方向でのみ考えては狭い。そう主張しているととられるのは本意ではない、ということに思い至った。
Learning→Active→Learningであろうが、Active→Learning→Activeであろうが、Activeの意味を内省することがLearningにつながり、Learningの成果をActiveに活用することでパフォーマンスが上げられるということを考えたときに、これは要するにサイクルの「どの期間」の問題なのかということに過ぎないのではないか、という気がしてきた。そうであるならば、これは、かつての「表現―理解」構図に回収される。それも、かなり矮小化されて。まぁ、それは行きすぎた議論である。「Learning性とActive性がどのように接続しているのか」という視点で考えていくことにしよう。
 
※ 宣伝(笑)
今年の教師力BRUSH-UPサマーセミナーのテーマは、「ActiveLearning×○○」である。この仮説でいけるかどうか、じっくり考える二日間にしようと思う。(藤原友和)

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