2016年2月28日日曜日

9月14日の奇蹟!!(ある日の学級通信より)



 
  奇蹟が起きました。
 
  何だかわかりますか?
 
  それは、・・・「移動教室の時、全員の椅子が見事に机の中に収められていた」・・・ことです。ただの1人も乱れていない。すごいことです。
 
   私が椅子に注目したのは、東京のある中学校の話を聞いてからです。その学校の教育目標は、『机を離れるときは、椅子を入れよう』です。なんと具体的で、一見、小さな目標のようにみえます。(ある学級の1日の目標みたいです)
 しかし、これがなかなか達成できなかったそうです。全校生徒(約4000人)が、いつでも、どこででもできるようになったのが、1年後でした。1年かかった、ということです。しかし、この目標が達成されてから、不思議なことが起こり始めます。まず、学力が向上してきます。そして、部がどんどん強くなり、全国大会へ行く部もでてくる・・・。
「椅子を入れる」ことを徹底することで、すべてがよりよく変わった、という話でした。
 
   なぜ、「椅子を入れる」とすべてが変わるのか。自分なりに考えてみました。東京のこの中学校は生徒数がものすごく多い。教室は我がクラス同様、机と椅子だらけでしょう。歩くにも邪魔になる。ところが、椅子が入っていると、歩くのがとてもスムーズです。歩きやすい。椅子を机に入れるのは自分のためではなく、そこを歩く人のためだったのです。つまり、人の身になって考えること。それがいつでも、どこでも、だれにでも。その力が身についた人が、どんどん、よりよく変わっていったのだと考えました。
 
   『人の身になって考える』ああ、自分はできていないなぁと反省しました。1Aのみんな、一緒にこの力を身につけて、一つ上の自分を目指そうぜ!!
                                                                                                                                  
                                                                                                                                                (小林 智)

2016年2月25日木曜日

共通する、関連する

 私は、中学、高校、大学と野球部に所属していました。現在も、野球部の指導にたずさわっています。大会や練習試合では、審判をすることもあります。
 先日、野球関係の講演会に参加しました。午前中は、あるスポーツライターの講演に参加しました。高校野球の試合のエピソードや高校野球の選手、監督、プロ野球の選手等の人物のエピソードを交えての講演でした。私は、ノートにメモを取りながら話を聞きました。ノートから、話のポイントとなるフレーズをいくつか挙げます。
 ・準備・確認が必要である。「当たり前だ」とわかっているようなことでさえ、声に出して確認することが大切だ。
 ・当たり前のことを、チームで徹底する。
 ・その行為に意味があるかどうか考える前に、とりあえずやってみる。
 ・とりあえずやったことを、どんな状況・条件でもやり続ける。そのことによって、見えてくるものがある。
 ・当たり前のことを100%できるのが、いい選手である。
 野球にかぎらず、授業の実践、学級経営、日常生活など、さまざまな場面にも通じるところがあるな、とあらためて感じました。


 同じ日の午後に、野球の指導者対象の別な講演会に参加しました。講師は、高校野球監督として甲子園で全国優勝した経験のある方でした。講演の最後に、私は「全国優勝する前にも何回か優勝するチャンスはあったのに、負けた試合があったが、その試合の敗因は何だとお考えになっているか」という旨の質問をしました。それに対し、講師の方は、「序盤に大量リードして油断が生まれた」「次の選手を起用しようとしたときの準備ができていなかった」ことを挙げました。午前に聞いた講演と内容が重なることがあり、なるほど、という思いを抱きました。
                                                     (對馬義幸)

2016年2月7日日曜日

続けていること



 今年度、初めて1年生の担任をしています。最初の1週間で、「今まで担任として、楽をさせてもらっていたのだな」と初めて思いました。1年生は知らないことが多く、私の言い方やあり方1つで良くも悪くも変化していくからです。その責任の重さに、苦しくなることもありました。
 少しでも良い変化を起こそうと、4月から続けてきたことが2つあります。


①伝えたいことは、教師がやってみせること

例えば水や食べ物をこぼした時、1年生はスルーしてしまいがちです。こぼしたという意識がない子もいます。だから「何かをこぼしてしまった時はね・・・」と言って、実際に水や食べ物をこぼして、雑巾でふいて見せました。すると「へえ、そうするのね。」と、真似できるようになりました。1年生らしさだと思っているのですが、何でもやってみたいという気持ちが強いので、友達がこぼしたものでも「それ拭きたい!」と言って、行動するようになりました。「手伝ってくれて、ありがとう。」と伝えれば、お互い気持ちよく過ごせます。知らないことが多いから、「それできない」「どうやってやればいいのか分からない」と不安を訴える子も多く、そんな時は「見ていてね。」と言ってやって見せることで安心して学習に取り組めることもありました。



②教室に本をおくこと

 巡回司書の方や図書館の力を借りて、教室には必ず30冊以上の本を置くようにしました。1人1冊手に取ることができるようにするためです。3年前までは、読み聞かせをすることも絵本を買うこともほぼなかったです。勤務校の先生方が教室にたくさんの本を置いているのを見たり、研修会で絵本の魅力に触れたりしたので、取り組みを始めました。読み聞かせをしてみて、子供達の様子にも変化がありました。初めは絵ばかりを見ていた子が、文字をおうようになり、自分から本を手に取るようになり、自分で本を読むようになりました。もちろん全員ではないですし、「本を読むより、お絵かきがすき。」という子もいます。でも「この本のここが好き。」「これ読んでみて。」「その本楽しいよね。」というように、本がお喋りの話題になっていることもあります。上手く言えないですが、とても温かい空気が流れます。

 話下手な私にとっても、笑える内容の本を選べば、笑いを起こすことができるというのも、魅力の1つです。シーンとさせたい時、笑わせたい時、こちらから大切なことを伝えたい時、絵本は力になるなあと思っています。もっと授業や学級経営に活用できそうですが、まだまだ勉強中です。

 苦しい時でも、1年生の可愛らしさには元気をもらえました。あのぷくぷくした顔で笑われると、また明日も頑張ろうと思えます。あと2ヶ月程で、今年度も終わります。焦らず慌てず、子供達をよく見て関わっていきたいと思っています。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
                (辻村 佳子)



 

2016年1月20日水曜日

大切なものは目に見えない(『星の王子様』サン=テグジュペリより)


今年度育児休暇を取得し,その育児休暇も残すところ2か月余りとなった。この間,十勝管内の様々な所に行き,様々な人と出会いお世話になってきた。

上半期に一番お世話になったのは帯広動物園。通うこと60数回。おそらく一生の中でここまで通い詰めることはもう二度とないだろう。動物園は,気温・天候に関わらず開園していてくれた。暑い時には,動物だけではなくお客さんの涼む場所を作る。雨の降った後は,子どもたちが水たまりで濡れないようにブレードで水をかき出し,水たまりを消す。そして,毎日のようにベンチや机をふいていた。

下半期で一番お世話になっているのは地域の子育て支援センター。週に3~4回は通っているだろう。そこの先生方は,来た子供たちの年齢層を見極め,遊び道具を準備し,子どもたちを楽しませてくれる。時には何度も遊びを変えることもある。それをお母さんたちの悩みも聞きつつ,子どもたちと一緒に遊びつつ,後片付けも同時にやっている。

自分たちがいる時間は,2~3時間ぐらいのもの。動物園の方々も支援センターの方々も人が見ていないところでどれほどの準備・苦労をしていることだろう。本当に頭の下がる思いである。これから育児休暇が終わり,現場に戻る。これからは,目の前の子どもたち(自分の子どもを含めて),保護者,他の先生方などなど目に見えないところを大切に取り組んでいきたいと思う。
(木下 尊徳)

2016年1月10日日曜日

【ふり返り】第77回教師力BRUSH-UPウインターセミナーin千歳2016

 今回の企画は、二つの問題意識に貫かれていました。
 一つは、「みんな、アクティブ・ラーニングのことをどのように考えているんだろう?」ということです。そしてもう一つは、「アクティブ・ラーニングで上手に学べる子ってどんな子で、そのような子どもを育てるアプローチとはどのようなものなのだろう?」という問いです。
 一つ目の問いを追究していくために、一日目は、小学校、高等学校、そして大学の“現場”からの発信をお願いしました。

【1月7日】
 オープニングセッションは、大野睦仁先生(札幌市立三里塚小学校)による進行で、「ALの理解度はどれくらい?」などの4象限に自分のイマココを書きだし、それをシェアするという流れで行いました。問題意識を掘り下げながら、この二日間の学びの視点を共有する時間でした。

 次に講師の先生方による“ゲンバのホンネ”実践報告です。
 小学校は、西村弦先生(鹿追町立鹿追小学校)の実践報告です。ピンクシャツデーを初めとしたダイナミックな実践は、一人の教員の工夫によるものではありません。文部科学省の指定を町全体で受けている取り組みで、小中高の接続を目玉とする研究開発実践を背景としています。“ゲンバのホンネ”らしい、裏話も交えながらの大規模な実践の数々には、考えさせられるところが大きかったです。もちろん、その中で西村先生が果たしてきた役割はとても大きく、その実践の背景には西村先生自身の特異とも言えるキャリアがあったことは記しておきたいと思います。

 高等学校は、熊本県から溝上広樹先生(熊本県立苓明高等学校)のアクティブ・ラーニング実践の報告です。溝上さんは、「・」の着かないアクティブラーニング、キャリア教育畑からの先駆者である小林昭文先生の研究グループで学ばれ、ご自身も先生方の勉強会を主催されている若手のホープです。受験圧力の低い島の高校で、意欲を引き出し、生徒の学習スタイルの変革も同時に行っていくという緻密な実践を報告して下さいました。

 大学は難波美帆先生(北海道大学)に、スーパーグルーバル大学として文科省からも期待されている現場で、どのようにしてアクティブ・ラーニングを進めていくか。これも“ホンネ”の話を聞くことができました。おそらく、大学の現場のここまで突っ込んだ話を聞ける機会はなかなかないものと思われます。

 三名の講師の先生のお話を伺った後は、「座談会」です。講師の先生方と、本会代表の髙橋裕章先生、そして、堀裕嗣先生を交えて、「私たちの考えるアクティブ・ラーニング」をテーマに、様々な角度から、“いま、私たちが置かれた現在地”について深めていきました。方法ではないといわれる。では、〈何〉なのか。これがだんだんと明らかになっていったように思います。ここでのお話を聞くにあたり、溝上先生の「ALの方法と概念と論を区別しないといけないのではないか。」という講座中のご発言がとても機能していたと思います。

 その後、初日の最後のコマです。新企画、「模擬授業をみんなでつくろう」です。2日目の午前中に提案される4本の模擬授業を、この場で、参加者の皆さんも交えながらつくろうという参加型企画です。4班に分かれ、模擬授業者、コーディネーター、授業協力者のところに、参加者がそれぞれ移動して話し合います。イメージは、学年による指導案検討会です。そして、この構造は、ジグソー学習にもなっているというチャレンジでした。懇親会でも授業についての話が続き、明日への期待を抱かせるものとなりました。

【1月8日】
 午前中は、「特別の教科 道徳」での模擬授業です。
 低学年は辻村佳子先生(斜里町立朝日小学校)による授業。「自分のよさに気づく」ために、絵本を使った授業です。
 中学年は中原茜先生(八雲町立東野小学校)。「生命尊重」の授業で、多様な視点から考えるという展開が、まさしく今求められている授業像だと感じました。
 高学年は田名部圭一先生(今金町立今金小学校)。「にじいろマフラー」という絵本を使った、「友情」の授業。絵本の構成を生かしながら、まさかの展開に会場では涙をこぼす参加者も。
 中学校からは髙橋和寛先生(札幌市立札苗中学校)の授業提案です。「勤労観」をテーマに、バーチャル就職活動を通して何度も話し合いをするという、「考え、議論する」道徳をご提案いただきました。

 午後は「グラフィック・トーク」による協議と、「乱入・指名型フィッシュボウル」による座談会です。
 まずは「グラフィック・トーク」
 模擬授業をしている間、授業づくりのコーディネーターになっていただいた先生方には、壁に貼った模造紙に「グラフィック・レコーディング」をしておいていただきました。2回目の増澤友志先生、初挑戦の大野睦仁先生、そして何度かやっている斎藤佳太先生と藤原です。
 まずは授業者に、模造紙の前に立ってもらいました。全員でその前にあつまり、授業者から「ねらい/機能度/ALとの関連」について3分でお話してもらいます。場所を移動しながらこれを4セット。それぞれの授業の主張を全員共有したところで場をほどきます。参加者は各自、好きなところに言って授業についておしゃべりします(ギャラリートークとパネルチャットシステムを組み合わせたフレームワークですが、これには研究集団ことのは主催イベントでの知見によるところが大きいです。学恩に感謝申し上げます)。

 座談会の前に、藤原より、「アクティブ・ラーニングが求められる背景」ということから、人口動態予測と、北海道での実際、そして大学入試制度改革について提案しました。また、校内研修でどのようにこれらの話を位置付けていったのかということに関して、実践報告を交えながらお話する時間をいただきました。
 座談会は「フロア参加型」と銘打っております。そこで、フィッシュボウルを採用しました。輪の中で始まった議論。それによって個々人の内省が始まります。進め方については課題も見つかりましたので、今後の企画に生かしていきたいと考えています。

 最後に、大野睦仁先生のクロージングセッションです。オープニングとほぼ同じ問いを使って、自分自身の変化を感じるという仕掛けでした。

 アクティブ・ラーニングを考えていく上で、それぞれの校種ごと「縦の流れ」としてみていくことを意図した二日間でした。今後につながるいくつもの出会いがあり、参加された皆さんとの対話の中からたくさんのヒントもいただくことができました。この学びを次の動きにつなげていきたいです。ご参加ありがとうございました。

                                                (藤原友和)

2016年1月8日金曜日

変わらないこと。

 年末から5年前の実践を見直す作業をしていました。 
 指導案、画像、動画、通信、手帳......。あらゆるものを引っ張り出してきて、見直しました。 
 この時の学級は、初めて「子どもたちに委ねる」覚悟を決めた学級です。
 そして、私自身がそれまでに学んできた「ファシリテーショングラフィック」を中心に据えて、学級づくりに取り組んだ学級です。 ファシグラの研究会で提案するために見直したのですが、結果として今の実践を見つめ直す機会になりました。
 
 5年前、私は9人の小さな学級の担任でした。保育所から中学校まで12年間も同じ集団で生活していかなければならない子ども達です。固定化された人間関係の中で、「何を言うかではなく誰が言うか」が大切にされている場面が多くありました。学級解体がない子どもたちにとっては何年も続くことが、容易に想像できてしまいます。
 
 この年、私が最も意識したことが「教室を子どもたち全員の居場所にすること」でした。そのためのツールとしてファシグラを活用し、模造紙上で全員の考えが繋がるようにしました。視覚的に「自分の考えも取り上げられている」ことがわかるようにしたのです。みんな繋がってるんだよ、と、伝えたかったのですね。 

 対して、今の学級では、ファシグラ実践はほぼありません。別の方法で子どもたちが繋がりを実感できるように取り組んでいます。それでも、変わらないこともあります。 

 ・子どもたちに委ねること
 ・教室を子どもたち全員の居場所にすること 
 ・子どもたち自身が描くこと(書くこと)

 この3つは、私の中で変わらないものです。 もちろん、揺らぐことも、これでいいのか?と悩むこともたくさんあります。ただ、最終的にここに戻ってきています。
 
 今回、5年前の実践を見直すことで、自分の実践の根っこにあるものを確認することができました。カタチとしては見えないけれど、私の中の真ん中にはファシグラがあることも、再確認できました。 
 19日から始まる3学期。自分の根っこにあるものを意識して、子どもたちとともに卒業に向けて走り抜けようと思います。

(水戸ちひろ)

第77回教師力BRUSH-UPウインターセミナー2016in千歳

お申し込みは「こくちーず」から

期 日:平成28年1月7日(木)~8日(金)
会 場:千歳市民文化センター 3F中会議室2
   (〒066-0036 北海道千歳市北栄2丁目2番11号)
テーマ:「ゲンバのホンネ~どうする?“アクティブ・ラーニング”~」
講 師:難波美帆(北海道大学高等教育推進機構大学院教育部)
    溝上広樹(熊本県立苓明高等学校)
    西村 弦(鹿追町立鹿追小学校)
参加費:2日参加5,000円・1日参加3000円
定員:50名


日 程:
【1月7日】
 9:20 開場・受付
 9:40 開会セレモニー
 9:45 オープニングセッション
      ファシリテーター:大野睦仁
      グラフィック:野澤愛子・加賀大介
10:15 講座1「アクティブ・ラーニングを進める!【義務教育段階】」西
村 弦
11:15 休憩
11:30 講座2「アクティブ・ラーニングを進める!【高等学校】」溝上広樹
12:30 昼食
13:30 講座3「アクティブ・ラーニングを進める!【大学】」難波美帆
14:30 休憩
14:45 座談会「私たちが思い描く〈アクティブ・ラーニング像〉」
      指定討論者:西村 弦/溝上広樹/難波美帆/高橋裕章/山下 幸
      コーディネーター:藤原友和
      グラフィック:野澤愛子・加賀大介
15:30 休憩
15:45 GW「模擬授業をつくろう」
      趣意説明   藤原友和
      模擬授業者1 辻村佳子  コーディネーター:齋藤佳太 協力:
高橋裕章
      模擬授業者2 田名部圭一 コーディネーター:増澤友志 協力:
山口淳一
      模擬授業者3 中原 茜  コーディネーター:大野睦仁 協力:西
村 弦
      模擬授業者4 高橋和寛  コーディネーター:山下 幸 協力:難
波美帆
グラフィック:藤原友和・野澤愛子
16:45 事務連絡
18:00~ 懇親会

【1月8日】
 9:30 開場・2日目のみ参加者受付
 9:40 「アクティブ・ラーナーとして活躍する資質・能力を育てる〈特別
の教科〉道徳授業」
(各30分×4 入れ替えは間に各5分)
グラフィッカー:藤原友和
11:50 昼食
13:00 アクティブに協議する「グラフィック・トーク」
13:40 休憩
14:55 フロア参加型座談会「アクティブ・ラーナーを育てるとはどういう
ことか」 
指定討論者:西村 弦/溝上広樹/難波美帆/高橋裕章
コーディネーター:藤原友和
15:40 明日につなげるセッション
      コーディネーター:山下幸 
16:40 閉会セレモニー

お申し込みは「こくちーず」から 

2015年12月30日水曜日

2015年、あなたは何をおさめますか……!?

 2学期の学級をいかにおさめるか--? 12月5日に行われた第3回ことのは×北フェス合同研修会で与えられたのがこのテーマである。正確には「2学期学級じまい、完成の3学期に向けて布石を打つ!」であったのだが、自分としては「学級じまい」というより「学級おさめ」の方がふさわしいと感じた。
 「おさめる」には「納める」「収める」「治める」「修める」と4つの意味合いがある。どれを取るかは、担任が受け持ちの学級に対して取り組もうとした目標であり、その結果と言えるかもしれない。中学校3年生を受け持つ私は、欠点や足りないところを補いながら完成形に近づく「修める」を目指してきたつもりであったが、果たして達成度はどうだろう。単に2学期の成果や課題だけではなく、4月から(人によっては前年度の3学期からを含めて)の1年間を振り返る視点が必要だと言えまいか。
 例えば、私の勤務校では3年生の進級段階においても学級解体をして、新たに学級編制をし直す。4月にはまた新たな生徒と学級づくりを進めるわけだが、必然的に学級というよりも学年づくりがその基盤をなすこととなる。とすれば、新たに加わった学級担任が、楽に「縦糸」を張りやすくなるような環境を調整できたかどうか。システムを機能させ、その先にある主体的な学級体制を築くような意識へと生徒を導くことができたかどうか。人間関係調整力を発揮し、授業はもちろん学級活動においても、または学年間においても、「横糸」を誰とでも張れる雰囲気を生徒に導くことができたかどうか。こうした視点をチェックリストとして提示し、学年会で相互評価していくことにより学級修めの達成度が測ることができたのかもしれない。(実際は、行事指導や進路指導に追われて学級・学年づくりの評価はおざなりのままであったが……。)
 私が中3の学級に求めたいのは「気がつくと、自然と、つながっている」という姿勢である。決して大げさではない、さりげない「眼(まなこ)がけ、心がけ、言葉がけ」の大切さを訴えながら、時宜を逃さないような指導を心がけた。そして、学級担任である自分はもちろん、生徒たちにも「いろいろあったけど、振り返るとこのクラスでよかったね」といったカタルシス的自己満足だけで終わってほしくないという想いも、同時に持ち続けている。そこで中途半端な満足で終わってしまっては、卒業の先にある高校生活へと思いを馳せることはきっとできないだろう。
 決して閉じたり、締めたりするだけではなく、先を見据えて「常に開き続ける学級や学年」を目指していきたい。そんなことを感じた2015年だった。

(山下 幸)

2015年12月20日日曜日

取組をふり返って


先日まで,子どもたちは47都道府県の暗記に取組んでいた。
 前学年でも学習していたのだが,すっかり忘れてしまっていることがわかり,学年でもう一度取組むことになったのだ。
 子どもたちには,事前にプリントを配付し練習をしてもらい,いついつやるよと予告してテストを実施した。
 2回目のテストまでにほとんどの子が合格し,残るは3人になった。その3人と休み時間や給食の準備時間を利用し,一緒に練習したり家庭学習として練習してもらったりした。
「今度は合格できるかも。」
「練習してきたから大丈夫。」
子どもたちは自信をのぞかせ,3回目のテストに挑んだ。
 でも,あと少しというところで合格できなかった。
 そこで,また休み時間や給食の準備時間など時間を見つけて一緒に練習した。
「ここは?」
「愛知県。」
「ここは?」
「三重県。」

 そして,4回目のテストにチャレンジ。
「絶対大丈夫。」
「今度は,合格したと思う。」
 前回以上に自信たっぷりの様子だった。結果は,3人ともみごとに合格だった。結果を伝えると3人は,
「やった。」
と,とても喜んでいた。
 子どもたちは,休み時間でも「ちょっと練習しよう。」と言うと,当たり前のように練習していた。子どもたち自身,向上し続けていることを自覚していただろうし,合格したいという思いもあっただろう。さらに合格の基準も明確だったので,がんばりやすかったのだと思う。もしかしたら,やらなかったら怒られると思っていたかもしれない・・・。ともかく,子どもたちはがんばり続けた。そのことが合格につながったのはまちがいない。子どもたちが合格したことは,私もとても嬉しかった。
 一方で,今回のことを通してあらためて考えたことがいくつかある。
 一つは,結果だけに満足していてはいけないということである。全員が合格したからといって,適した指導方法だったとは言いきれない。別な方法でやったほうがより楽しくよりわかりやすく,よりやる気をもってできたかもしれない。結果だけを見るのではなく,その過程もふり返ることが今後につながると考えた。
 もう一つは,がんばりは人それぞれだということである。一つでもできるようになることが,その子にとってみるととても大きながんばりである場合もある。合格させることばかりに執着するのではなく,その子なりのがんばりをしっかり認められるようにしたい。また,がんばりすぎになっていないかを見とったり,「難しいです。」「苦手だから手伝ってください。」と,子どもたちが言えたりできるように,子どもへの接し方,学級の雰囲気も今一度考えていくことが必要だと考えた。
 最後に,がんばることが当たり前ではないということを気持ちの片隅にもっておく必要があるということである。子どもたちにどうしてもがんばることを求めてしまう自分がいる。がんばることを「よし」として,「苦手なことでもがんばろう」「がんばればできるようになる」「がんばろう」「がんばろう」と,子どもたちに投げかけている。でも,心に気になることがあったり体調がすぐれなかったりして,その日・その時はがんばるエネルギーが切れている場合だってある。究極なことをいえば,がんばらないという選択肢だってあるのだ。がんばることが当たり前と思っていては,そうできない子に寄り添うことはできないのではないかと考えた。
 忘れがちだが,日々当たり前のように行っているいろいろな取組を見直してみることが,目の前の子どもにあった環境づくりや指導方法につながるとあらためて気づかされた。
 
三浦 将大

2015年12月13日日曜日

「やらない」ではなく「できない」?


 2学期もまもなく終わりを迎えようとしています。学期末事務に追われながらも「あと数週間で終わる……。」と冬休みを心待ちにしている方も多いかもしれません。

 さてこの2学期、あなたが一番苦しんだことはなんでしょうか。授業が上手くいかない、生徒に指示が通らない、学級の子ども同士の人間関係など様々あることでしょう。これまでの9カ月間自分なりに指導してきたつもりなのに、なぜか成果が挙げられなかったもの、変化を感じられなかった、そういうものに「苦しみ」を感じることでしょう。

 このような問題に対して、私たち教師は「どうしたらうまくいくのだろうか?」と「How」の思考で考えがちです。熱心な教師ほど現状を「なんとかしたい」と思い、書籍で紹介されている手法を用いたり、他の同僚教師を参考にしたりと試行錯誤します。それでも一時的な効果が得られる程度でなかなか本質的な変化は起こりません。「どうしてちゃんとやってくれないんだ。」と深みにはまることになります。この負のループに乗ってしまうと苦しみから逃げるのは難しいものです。私自身もまさにこの負のループにはまっていた2学期でした。

 表題の言葉は先日参加した研究会で旭川の宇野先生が講座の中でおっしゃっていた言葉です。自分の思うようにいかない原因は子どもが「やらない」という態度の問題ではなく「できない」だけなのかもしれない。研究会の後、生徒を見る視点をこのように変えるだけで日々の苦しみに対するものの見え方が変わりました。すぐに子どもに変化を起こせるわけではないのですが、少なくとも自分の苦しみが軽減され、冷静に対応できるようになれたように思います。

 我々教師はうまくいかないことがあると、すぐに「心」の問題や「やる気」の問題と捉えてしまいがちです。自分自身や同僚の「うまくいかなさ」さえも「やる気」の問題にしてしまう方も多いように感じています。しかし単純に「できないだけなのでは?」と思考を転換することで同じ事象でも見え方は変わるものです。来年はより多角的に子どもを捉えられるようになりたいと思います。(髙橋和寛)