2016年7月14日木曜日

1年生と絵の具との出会い

 11年ぶり2度目の、小学校1年生担任をしています。
 前回の手痛い失敗を生かしながら日々教壇に立っています……といいたいところですが、11年も経ってしまうと記憶はすっかり風化。
 当時の日記もなんだか当てにならず、初めて担任するような気持ちで1年生の子どもたちと向き合っています。

 6月下旬。運動会も終わり、大きな行事もひと段落。
 その頃には小学校生活のリズムをつかみ、学習に打ち込みやすい時期になります。
 図工の時間には、そろそろ絵の具の指導を始めることになりました。

 じつは個人持ちの絵の具指導については、教科書では3年生から扱われています。
 1年生ではまだ、みんなで共用の物しか扱いません。
 ですから、準備から片付けまで自分一人で行う個人持ち絵の具は、扱いがとても難しい道具といえそうです。
 とはいえ、使いこなせたら楽しいに違いありません。

 学年団3人で、指導の方法をいろいろと話し合いました。
 教師力ブラッシュアップセミナーのメンバーである増澤友志さんのご実践も参考にしつつ、学年会議で計画を練りました。

・絵の具の扱いの習得に、4時間計画でのぞむ。
・点描2時間→線画2時間と、ねらいとする技能を絞る。
・ワークシート等にはできる限り頼らず、画用紙の上に思い思いに描くことで絵の具を使うことを楽しむ。

 担任団3人が知恵を絞り、図工担当の先生が以前にベテラン先生から学んだという実践(※さらに元となる原実践があるのかもしれません)を踏まえて考えました。



1,あしあと
 パレットに好きな色3つを出し、画用紙を森の中、点描を動物の足跡に見立てて画用紙上を歩かせます。筆の太さを変えることで、動物の種類も変わるということにしました。
 同じ大きさの点を打つことを目標にしました。
いつの間にか画用紙内に「ここは池!」「あそこの洞窟を目指すんだ!」と、森の中の世界が子どもたちの頭の中に描かれ始め、様々な動きが生まれました。






2,シャツ
 パレットに好きな色3つを出し、画用紙にしましま模様を描きます。太い筆から順に使い、変化のある線を描きました。後から端を切り取り、袖や襟、ポケットなどを作っていきました。
 始めに自分の好きな色をチョイスしていますので、お気に入りのシャツが自ずと出来上がりました。その喜びように担任も驚き、うれしくなりました。






 絵の具用の塗り絵も広く市販されているように、枠線を太くとって中を塗らせることで、ある程度の“きれいな絵”を仕上げる手立てを打つこともできます。また、今後行うであろう混色の指導時などは、何らかのワークシートがあったほうが、色の変化が視覚的に分かりやすくなると思います。しかし増澤さんの考察にある通り、1年生の絵の具指導では、ある程度の自由度をもって使わせることで、「自分で道具を扱い、自分で作品を仕上げることができた!」という満足感をもたせることも、大切ではないでしょうか。
 シャツ描きでは自分のしましま模様がシャツに化けていくという変化がとても楽しく感じられたようで、子どもたちは特に盛り上がっていました。
 授業のねらいによって、活動の枠の広さや手立ては柔軟に変えていきます。これは芸体系教科においても、どの学年においても、大切な教師の構えなのだと思います。ただ、はっきり言えることは、子どもたちは大人が思う以上に「できる」ことがあるということです。
(斎藤佳太)

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