担外となり,算数の少人数指導に関わっていたときのことです。
私が担当した中にいたAさんは,まちがえてしまったり問題ができなかったりすると,顔の表情がみるみるくもり,イライラした表情になってしまいます。時には一緒に学習している友だちや自分自身にあたってしまうこともありました。そうなってしまうと,指導は受け付けない状態です。髪をぐしゃっとにぎったり,時には泣き出してしまったりすることもあります。
しばらく時間をおいて話を訊くと,
「わからなくてイライラグチャグチャして」
「できない自分に腹が立った」
「自分はダメ。なんでできない。前にできていたのに。何で忘れんだろってループになる」
等のように話してくれました。これらの言葉をもとに,Aさんに配慮しながら指導をしていました。
ですがあるとき,Aさんにとっての「イライラ」の原因は,実はこれらのことだけではないということがわかりました。
それは,
「お腹すいてイライラしちゃって・・・」
と話してくれたことがきっかけでした。そのことを聞いてから意識してみると,Aさんがイライラしてしまうのは,朝食を食べてきていないときや4時間目が多いことがわかりました。4時間目というと給食前の最後の授業です。朝食を食べていないときのAさんにとっては,お腹がすいているピークです。「あと少しあと少し」と,がまんしながら授業を受けていたのだと思います。そんなとき,どうしても授業に集中できず,できなかったりまちがったりしてしまい,イライラはさらに助長されていたのかもしれません。きっと,このようなことは,これまでの小学校生活で何度もあったのだと思います。
題名にある,86.9%というのは,「平成29年度全国学力・学習状況調査 児童質問紙」にある,「朝食を毎日食べていますか」という問いに,「している」と答えた児童の割合です。平成19年度からの経年変化を見ても,「している」が90%を超えたことはありません。中学生では,小学生よりも「している」と答えた割合は少なくなります。様々な理由で朝食を食べていない子どもが1割以上いるのです。
「している」の86.9%に含まれていない,13.1%の子ども達がどんな思いで授業を受けているのか。お腹がすいていて授業どころではないかもしれません。Aさんの言葉をきっかけに,このような子どもたちに自分ができることは何かを考え続けるようにしています。(三浦 将大)
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