同僚と「交換ノート」をしています。北海道公立小学校教諭の小林雅哉さんに教えてもらい、「交換ノート」をはじめてから今年度で2年目となりました。「交換ノート」をとおして日々の実践や気づきを、何人かで交流しています。
今、学校は多忙感に包まれ、互いの思いを出し合っている余裕がないというのが正直なところではないでしょうか。他と腹を割って話す機会が減っている中で、お互いがどんな教育理念をもっているかを知らないまま相手のことを安易に否定してしまったり、折り合いをつける着地点を探れないまま話し合いが終わってしまうということもしばしばありました。また、同僚の先輩教師が「後輩へアドバイスしたい気持ちはあるが、そういう場がなかなかないんだよなあ」とつぶやいていました。学校力を高めるために何かしたい気持ちはあるが一歩踏み出せないもどかしさを抱えていることも知りました。
こうした実態を少しでも緩和できないかと考えて取り組み始めたのが「交換ノート」でした。「交換ノート」には、たとえば(その1)(その2)のようなことが綴られていました。
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(その1)
誰の言葉だったか・・・。
できない部分(障害)にからめとられた日常生活の支援や援助は「できない」に対する単なる日常生活動作の介助にすりかわってしまう。
必要なのは、介助を受けた中で利用者がどのような生活を送ることができるのかを考える大きな視点である。
思い出した。
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この投稿をしたのは、初任者の特別支援学級の先生です。「僕らの仕事は介助することなのだろうか?」という大きな問いを同僚に投げかけたのだと思われます。
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(その2)
信念を貫くって素敵だなあ。
相手が誰であれ。
自分の信念を貫くことって
教師として、いや人として
大切なことだと思う。
簡単に曲げちゃったらイチバン大切にしなきゃならない「自分」が
なくなっちゃいそうな気がするもんな。
この投稿をしたのは、私と同じ部活動の顧問が書いてくれたものです。この日の前日にいろいろあって落ち込んでいる私に、励ましの言葉を投げかけてくれたのだと思われます。
これらの他には、次のような投稿がありました。
①授業の板書をパシャリと撮ったもの
②授業で使ったワークシート
➂読書してお気に入りのページ
④朝の会で話した内容
⑤Twitterでリツイートした投稿
⑥部活動等での語り
⑦子どもたちの写真
⑧教室掲示
⑨校内研修の感想
⑩校外の研究会の参加報告
⑪生徒指導で意識したこと
⑫学級づくりでの悩み
⑬授業づくりでの悩み
⑭励ましのメッセージ
⑮少し時間が余ったときに行った遊び
⑯学級懇談会の内容
⑰気になる新聞記事
⑱学級通信
こうした投稿に対して、下線を引いてちょこっとコメントを書きます。コメントの量は、家庭学習ノートを点検したときに書く程度です。実践や気づきを自分が投稿してもしなくてもいいし、相手の投稿に対してコメントを書いても書かなくてもいいというルールを設定し、無理なく自分のペースで進めることを大事にしました。
先日、「交換ノート」をPDF化すると、1年間でA4ノート92ページ分にもなりました。隙間時間を活用するので「交換ノート」で交わされるコメントの量はわずかですが、同僚から反応が返ってくるだけで日々の仕事へのモチベーションは上がります。また、3月にもう一度読み返して見みると、自分が取り組んできたことを俯瞰してものをみることができたり、取り組んできた中で優先順位の高い学びは何か情報を取捨選択したり、当時と変わったものは何か、変わらないものは何かを自覚することができました。
同僚との「交換ノート」が、みんなが多様な考えや意見を持ち寄って話し合えたり、協力しながら学校をつくっていくきっかけに少しだけ貢献できていたら嬉しいです。無理なく進められる「交換ノート」を、ぜひ次年度取り組んでみてはいかがでしょうか?
(藤倉 稔)
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