2016年11月30日水曜日

第83回教師力BRUSH-UPセミナーin函館ふり返り

1 企画趣旨とその実現に向けたオープニング・セッション

(1)集会コンセプト

 この度の函館集会のコンセプトは「〈みんなでつくる〉を考える」というものでした。教師が一方的に押し付ける授業や学級経営の在り方ではなく、子どもたち「みんなでつくる」在り方を考えていこうというものでした。
 うんうん。そうですよね。
 みんなでつくるって、きっといい学級なんですよね。

(2)オープニングの問い

 冒頭、オープニングセッションで、この日のメインファシリテーターである三浦さんは次のように投げかけました。

「〈みんなでつくる〉って本当にいいの?」

 え。

 この問いによって参加者は一気に「思考モード」に切り替わりました。無前提に「よい」のかどうか、本当に考えて実践してきただろうか。そういう内省に向かいます。
 午前中の実践提案3本、模擬授業2本は、上記の問いに貫かれて参加者の思考を刺激し続けました。

2 集会の実際

(1)実践提案×3

 斎藤佳太さんによる低学年の実践は、いずれ「みんな」に向かうための、自分づくりを報告してくれました。教師がつくる安心感がベースだということが根底にあります。
 中学年では加藤慈子さんが学級の「色」をつくっていくにあたって思考ツールを位置づけた実践を紹介してくれました。「アイドル会社」の動画には萌えました。ここでも、活動のプロセスを思考ツールという枠にのせるとやりやすいよ、という教師のつくった仕掛けが提案されています。
 高学年の中原茜さんの報告は、腹式の学級における自分たちで進める授業の在り方を提案するものでした。校内研修として取り組んでいる実践には、子どもたちが自律的に学ぶ姿とともに、それを可能とする地道な積み重ねが報告されていました。

(2)模擬授業×2

 三浦将大さんの模擬授業は理科の「気体の性質」でした。二段階の実験を組み合わせて、ペットボトルの中に入っている気体の正体を突き止めるという学習活動は、とても意欲をかきたてるものでした。対話を生む仕掛けや、追及を持続させる活動構成など随所に工夫が凝らされた授業提案でした。
 長澤元子さんの模擬授業はひたすらドイツゲームをするというものでした。二つのグループに分かれて、次々といろんなゲームを経験します。長澤先生が付かない方のグループでは「預け先がない」という理由で連れてきていらした2年生の息子さんがゲームのルールを説明してくれました。最初は戸惑いがちだった参加者も、徐々に笑い声が漏れ、2ゲーム目には笑い声が起きるタイミングが揃ってくるなど、一体感を感じさせる雰囲気で授業は終わりました。
 二つの授業は、ともに教師が発問・指示・説明の積み重ねによって授業が進んでいくのではなく、「間接的にねらいに導いていく」という仕掛けがありました。ここにも「みんながつくる」を考えるヒントがあらわれていたように思います。

(3)大野睦仁先生の「卒業カウントダウン」提案

 9月には別の企画で函館にいらして、「大野学級のゲンザイチ」を提案してくださった大野先生。今回は卒業までの「59」日間をどのように過ごしていくのか、現在までの取り組みを振り返りながら、学級通信などをもちいて提案してくださいました。
 その中で、本日のオープニングに絡めて提示された二つのフレーズが印象に残りました。

 ・「みんなでつくる学級」をつくる…
 ・「みんな」の中には…

 詳細は参加者のみにとどめておきますが、「あぁ、そうだよな」と強く納得したフレーズでした。私たちはいかに前提を疑わず日々を過ごしているのか…と気づかされた瞬間でした。

(4)ふり返りは参加者全員でファシグラ

 最終コマはリフレクションの時間です。
 「全員でファシグラってみよう」という三浦さんの投げかけ。
 これに参加者はとまどうかと思いきや…。
 会場にはこれまでのファシグラが全部貼られています。
 一コマにつき、二人ずつで描かれていますし、描いている姿も見てきました。そういうわけで「どう描いていいかわからない」ということもなく、全員がすらすらと描き始めます。12名全員が書き上げたところで、一人ずつ今日の学びを発表して聞き合い、クロージングセッションが終わりました。いわゆる「ペイントリフレクション」という方法がとられたわけです。

3 参加者・事務局の振り返り

 11月26日(土)に開催された学習会でしたが、その後もFBグループ内で振り返りが続いております。ブログ公開用に書いてもらった振り返りには、次のような言葉が並びました。
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 今回の函館集会は、実践報告3本、模擬授業2本、大野さんの講演も全てが素晴らしかったと思います。そのような場を「増幅する装置」として、オープニングセッション・クロージングセッションをファシリテートした、三浦将大さんの果たした役割は大きかったと思います。簡単に言うと、「それまでに書かれていたレコーディングも材料にしながら、全員でファシグラ」をしたんです。いわゆる「ペイントリフレクション」に近いものと思いました。Nextにつながります!(藤原友和/主催)
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オープニングでは,その時点で“みんながつくる,みんなでつくる教室”に必要なことを出してもらいましたが,出された言葉に参加者の意識の高さを感じました。
クロージングでは,学びをファシグラってもらいました。オープニングでの考えにプラスαがあったり,より具体的な言葉になっていたりと,それぞれの学びが反映されたFG・発表になりました。
より深い学びになるように,オープニングでの「問い」,FGの効果的な活用など,改善すべき点もあらたになりました。(三浦将大/メインファシリテーター)
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 各講座・模擬授業の内容について、常時2名のグラフィッカーが同時にレコーディングをしていきました。後から比較すると、グラフィッカーによってクローズアップされた言葉が異なります。それぞれの問題意識の違いが表れていると思われます。自分のノートと見比べながら読むことで、講座内容の理解がさらに進む仕掛けがありました。これが1日の濃い学びを支えていました。(斎藤佳太/実践提案/BRUSH本体事務局)
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 今回初めてグラフィッカーとして参加させていただきました。
 実際にやってみると,描くことに精一杯でしたが,どの言葉をどのように描くか,たくさんたくさん考えることができました。
 また,複数人で1つの講座をグラフィックする事で気付いた事の中には重要視する部分が異なるという事もあります。
 人によって心に残る部分が異なるからこそ,なぜ・どうしてそう描いたのかを互いに言及し合う事で,より深い学びを得られるグラフィックになると感じました。
受講者として,グラフィッカーとして,みんなで高め合えることができた1日でした。(鈴木綾/グラフィッカー)
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 今回は「みんながつくる、みんなでつくる」がテーマでした。
 三浦先生のオープニングセッションではいくつか問いがありましたが、特に「みんなでつくる学級はいい学級なのか?」という投げかけで1日の学びの軸が決まったように感じます。

 みんなでつくる学級は、いいか悪いかより「すごい」というイメージでした。つくるのが大変だからです。特に大野先生には「これを実践すればこんな学級になる!」という光を全面に伝えるのではなく、「Aの実践をして結果は◎。けれど、負担に感じている子もいる可能性もある。たとえば…(具体的な事例が続く)」というように成果と課題をセットで伝えていただきました。さらにその日のうちに学びをファシグラでまとめる…。
 how-to実践を「与えるだけの集会」ではなく、与えられた実践をきっかけに「みんなで考える、みんなが新たな価値をつくることができる集会」になりました。(中原茜/実践提案)
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(まとめ 藤原友和)

2016年11月20日日曜日

学び方を選択する。


 教員になって11年目となりました。今年は10年経験者研修に参加しています。先日この研修の一環で研究授業を行いました。研究授業のテーマは「課題探求型学習」。生徒が課題を発見し、生徒同士で練りあいながら課題についての考えを深め、解決していく。大雑把にいうとこんなイメージでしょうか。今回はこの研究授業を作る上で考えたことを御紹介させて頂きます。

 「課題探求型学習」では必ずといっていいほど、グループでの学習が行われます。本来「課題探求型学習」では必ずしもグループ学習を必要とするわけではないのだと思うのですが、様々な研究授業を観てみるとグループで話し合うような場面が盛り込まれているのが実際のところです。これはグループで意見を交流しながら、生徒が主体的に学びを深めるといったことをねらっているのでしょう。かくいう私も自分の授業に積極的にグループ学習を取り入れている一人です。

 しかしグループ学習を授業で行っていて、最近新たな疑問が浮かんできました。グループでの学習を授業に取り入れることは、逆にいえばグループでの学びを強制しているのではないだろうか、というものです。本来学問とは孤独なものという側面もあります。確かにグループで交流する価値がある課題だけど、今はまだ個人でじっくり追究したい。学習者としての生徒にはそんなこともあるのではないでしょうか。そんなときにグループで交流することを強要されてしまっては「主体的に学ぶ」ことにならないのではないか。ここで授業づくりが行き詰りました。

 実生活においても人生でぶつかる様々な問題の中には一人で解決しなければならないものがたくさんあります。確かに仲間と協力して課題を解決する場面もありますが、そのような場面ばかりではありません。さらにいうと個人でも仲間と協力してでも、どちらでも解決できるけれど、どちらの手段が自分に合うのかを自分で選択しなければならないような場面もあることでしょう。そうであるならば、仲間と協力してグループで課題を解決するのか、あるいは個人で課題を解決するのかを選択できるような場面を授業の中に設定する、ということも一年間の授業の中にあっていいのではないのでしょうか。あるいは個人とグループを自分でうまく使い分けながら課題解決を目指すような授業も実生活に役立つことでしょう。個人で行うこととグループで行うことの双方の良さと欠点を繰り返し生徒に体感させたうえで、自分で主体的に課題解決の方法を選択する力をつける。このことはきっと将来ぶつかる問題を解決する上でも役に立つに違いありません。授業における一番の目的は課題の解決です。しかしこの目的に至る手段には多様性が認められていいのではないか、そんなことを考えて今回の研究授業を行いました。

 授業はいくつかの成果と課題を残しましたが、授業後の検討(仲間との協力)と自分の中での反省を通してさらに授業づくりについて考えていきたいと思います。
                                (髙橋和寛)

2016年11月19日土曜日

第82回 教師力ブラッシュアップセミナーin北見終了



 11月5日(土)に、2回目の北見集会が行われました。

 集会の様子をお伝えします。 
 
 場所は端野町「いなかふぇ 木倉屋」さんでした。

 参加者の方の中には、「2回目の参加です」という方もいらっしゃいました。



 アイスブレイクを兼ねたランチタイムの後は、講座のスタートです。

 
 講座は、「多様性」「あの子」をキーワードにして、授業づくりや学級づくりについて。

 実践内容は様々でしたが、それぞれの提案に共通する視点や考え方がありました。

 「さっきの講座と似ている考えだなあ。」

 「同じキーワードが出てきたなあ。」

 と感じるところがありました。

 

 「参加者の方と一緒に考えていく学習会にしたい。」という思いで、交流タイムを設定しました。


 「自分たちの教室のインクルーシブのこと」

 「教室にいるあの子のこと」

 「明日からの教室づくりのこと」

 をテーマに。

 席替えをしながら、メンバーを変えて交流をしました。

 子供たちのことについて思いを巡らせる時間があることで、

 新しい視点や新たな疑問をもつことができたのではないかと思っています。



 学習会の後は、北見市内で懇親会も行いました。

 美味しいお料理を食べながら、講座のことについて、各々の学校のことについて、趣味のことに

 ついてお話して、楽しい時間を過ごしました。



 参加された先生方、本当にありがとうございました。

 また、落ち着く空間を提供していただいた、
 
 「いなかふぇ たんの 木倉屋」様にも、感謝申し上げます。



辻村 佳子





絵本と私

 3度目の1年生の担任をしています。私のクラスの国語の授業の最初は読み聞かせから
スタートします。
 「今日の国語はまずは読み聞かせです。」子どもたち「やったー!」
 4月から続けてきてこのやりとりが日常になりました。子どもたちが集まってぎゅうっ
と固まって読み聞かせする本に目を向け、耳を傾けます。
 時には面白い話を、時にはすっと話の世界に入っていく話を、時には子どもと対話をしながら…。色々なお話を子どもたちに届けます。
 子どもたちの本を見つける真剣な目。笑顔。絵本を通して子どもたちと作る雰囲気はとても温かくて子どもたちも、私も好きな時間です。
 学級文庫、通称「たなぶんこ」にはたくさんの絵本があります。いつしか子どもたちはその中から読んでほしい本を選んで、「これ読んで」と私の机の上に置いていくようになりました。
国語だけではなく、道徳、生活など様々な学習で私にとって絵本が必須となりました。
私の学級経営において、「絵本」はなくてはならない存在なのです。

 子どもの頃には母に読み聞かせてもらっていましたが、以前はここまで私は絵本に夢中になることはありませんでした。
 私を絵本に目覚めさせたのは、前に住んでいた町の人たちとの関わりが大きかったです。
学校での仕事の傍ら、地域の読み聞かせボランティアに所属したくさんの町民や子どもたちに読み聞かせを行いました。町の図書に関わる様々な取り組みにも関わらせてもらいました。その中で絵本が大好きになり夢中になってたくさんの絵本を読みました。絵本が私のライフサイクルの一部になりました。
 地域に一歩踏み出して活動できたことが、私の教員としての幅を広げてくれました。本当に感謝しています。

 この春、異動をして新しい学校で勤務しています。学校は変わっても私のライフサイクルは基本的には変わりません。学級づくりの一つの手段として「絵本」を私の武器としてどんどん実践を積み重ねていけたらいいなと思っています。そして学校だけではなく地域に一歩踏み出し、一町民として子どもたちを見守り育てていきたいと思います。
 地域に一歩踏み出してみること、それが実は教員としての力を高める一つの手段になるのかもしれません。

                             (田名部 圭一)

2016年11月1日火曜日

第84回BRUSH-UPセミナーin帯広のご案内


【これが私の生きる道!~教師の笑顔が子どもを変える~ 】

 

「知識基盤社会」「少子高齢化」「グローバル化」と今まで経験したことのない世界が待ち受けています。この台詞も聞きなれてしまう昨今。教育界に目を向ければ、「アクティブラーニング」「大学入試改革」「道徳の教科化」と目まぐるしい変化に右往左往してしまう…。教育に、そして教師に求められるものが増えることに、不安を覚えていることも少なくない…。



そんな今だからこそ、「自分という人間だからこそできる教育は何か」「自分らしい教師とは」という視点が必要ではないでしょうか。教師が自分らしさに自信をもって笑顔で過ごす姿は、子ども達にとって安心を生み出し、子どもたちの成長までつながっていきます。



そこで、今年のブラッシュアップセミナーin帯広では、「今求められる教師像」と「自分らしい教師像」を結ぶ時間を作りました。2学期の実践を振り返りながら、みなさんと一緒に考え、これまでとこれからがつながる時間を過ごせれば嬉しいです。


お申し込みは【こちら】から!



【日 時】

 平成28123日(土)9:3016:30

【場 所】

 とかちプラザ 306号室

【参加費】

 3500円(お弁当・お茶つき)

【タイムテーブル】

9:30 9:40 オープニング「自分らしさって何だろう」

9:4010:40 宇野弘恵   「女性教師だからできること」

10:5011:50 高橋裕章   「男性教師だからできること」

12:5014:10 十勝発!実践発表 「これが私の生きる道!」

              ・山河 愛(中札内村立中札内小学校)

              ・黒川達也(大樹町立大樹小学校)

              ・宮前敦子(音更町立音更中学校)

              ・加地 曜(足寄町立足寄中学校)

14:2014:50 石川 晋  「学校でしなやかに生きるということ」

15:0015:30 千葉孝司  「自分らしさを見つめ直す」

15:4016:30 対談    「自分らしい教師と求められる教師」

               宇野弘恵・高橋裕章・石川晋・千葉孝司

16:3016:45 クロージング 「明日から私が生きる道」



【講師紹介】(登壇順)

宇野弘恵

旭川市内小学校教諭。2002年より教育研修サークル・北の教育文化フェスティバル会員となり,思想信条にとらわれず,今日的課題や現場に必要なこと,教師人生を豊かにすることを学んできた。現在,理事を務める。

高橋裕章

札幌市内小学校教諭。教育実践サークル「DNA」副代表。国語実践研究では、科学的「読み」の授業研究会から読解の実践方法を学び、現在は、その手法を活かした読解指導や論理的思考力を高める授業づくりに力を入れている。

石川 晋

上士幌町立上士幌中学校。学生時代より授業づくりネットワーク運動に参加し、20133月よりNPO授業づくりネットワーク理事長。2015年度は全国20ヵ所以上を回って研修会を実施。日本児童文学者協会会員、北海道子どもの本連絡会運営委員。

千葉孝司

音更町立音更中学校教諭。十勝ライフスキル教育研究会代表。いじめ防止や不登校に関する講演,執筆などに取り組む。カナダ発のいじめ防止運動ピンクシャツデーの普及にも努めている。



【ファシリテーショングラフィッカー】

新川宏子 横田陽子 山河愛 木下尊徳

教師力ブラッシュアップウィンターセミナー in 札幌のご案内

「<新年度/これから>を見据えた学級づくりと授業づくり」 







 2017年のウィンターセミナーは、「一日一笑!教室に信頼・安心が生まれる魔法のネタ」「学級開き入門 (THE教師力ハンドブック)」「社会科授業がどんどん楽しくなる仕掛け術 どの子も社会科好きになる授業ネタ&アイデア」などの著書をもつ宮城・石巻から佐々木潤先生をお招きします。
 模擬授業と、佐々木潤先生による解説や講座を通して、具体的な授業づくりのコツを学びます。そして、新年度を見据える3学期前のこの時期だからこそ、佐々木潤先生の学級づくりから、これからの教室づくりを考えます。<新年度/これから>に向けて、大切なことを体験し、思考する1日です。
 2017年の学び初めは、教師力BRUSH-UPウィンターセミナーから!多数の参加をお待ちしております。

【日時】2017年1月7日(土)9:15~16:50

【場所】札幌市産業振興センター(札幌市白石区東札幌5条1丁目1-1)

【参加費】3,500円

【プログラム】 ~詳細は随時更新いたします~

09:15~09:30 受付
09:30~09:35 開会セレモニー
09:35~10:05 チェックイン(函館市立高盛小学校 三浦将大)
10:10~11:10 「これから」を意識した模擬授業と解説
          <模擬授業25分×解説5分を2本>
           北広島市立大曲小学校 山本和彦
           十勝管内小学校    西村弦
11:20~12:30 講座「新年度に向けて~授業づくりで大切なこと」(佐々木潤先生)
12:30~13:30 昼食休憩
13:30~15:00 講座「これから時代の教室づくり~私が出会ってきた子どもたちから学んだこと」
           (佐々木潤先生)
15:10~15:50 対談「ぶれるコトと迷うコト~新年度を迎える前に考えたいこと」
           (佐々木潤先生&札幌市立三里塚小学校 大野睦仁)
16:00~16:45 チェックアウト(三浦将大)
16:45~16:50 閉会セレモニー

お申し込みは【こちら】から

2016年10月16日日曜日

第83回教師力BRUSH-UPセミナーin函館のご案内

日 時:平成28年11月26日(土)9:30~16:30
会 場:サンリフレ函館 中会議室

テーマ:みんながつくる みんなでつくる これからの教室


講 師:大野睦仁ほか
参加費:2000円(学生1000円)

日 程:

9:15~ 9:25 受付
9:25~ 9:30 開会セレモニー(総合司会:八重樫大輔)
9:30~ 10:00 チェックイン「“みんなでつくる学級”ってなんだろう」
  ファシリテーター:三浦将大
10:00~11:10 実践提案「学級の○○、みんなでつくってみた」(20分×3)
  提案1 【低学年】斎藤佳太「学級の風土」
  提案2 【中学年】加藤慈子「学級の色」
  提案3 【高学年】中原 茜「学級の授業風土」
  コーディネーター:三浦将大
  ファシリテーター:藤原友和
  グラフィッカー:鈴木 綾・八重樫大輔

11:20~12:20 講座と講評
「“みんなでつくる”とはどういうことか~大野学級、卒業カウントダウン~」
  講師:大野睦仁
  グラフィッカー:鈴木 綾・小辻美希

12:20~13:20 昼食

13:20~14:50 みんなでつくろう!「AL授業が学級を伸ばす!」(30分×2)
  模擬授業1「理科でつくるAL授業~課題を解決する~」三浦将大
  模擬授業2「国語でつくるAL授業~コミュニケーションの質を高める~」長澤元子
  グラフィッカー:八重樫大輔・小辻美希
  指定討論者:大野睦仁・藤原友和

14:50~15:05 休憩

15:05~16:30 チェックアウト「“みんながつくる”“みんなでつくる”ために必要なコト」
  ファシリテーター:三浦将大

18:00~ 懇親会
  プロデュース:山川香緖里

お申し込みはこちらから!

ほどよさの鍵

現在,育児休業をとってちょうど2ヶ月になりました。
子どもが1歳になるのをきっかけに,妻と交代する形で休業に入ったのです。

木下さんが1年間の育休をとられ,その後の復帰してから感じたことをこのブログ記事で書かれています。
私は,現在の状況から感じていることを書いてみます。

育児に徹すると,1日のサイクルがどんどん閉鎖的になってくることを痛感します。
私もこの2ヶ月の基本的な生活パターンから言うと,家族外の方と話をする機会は,隣近所の自分の母と同世代になる方々との挨拶を交えた話くらいです。
確かに,近所の保育所では,子育て支援センターが開設されています。しかし,なかなか生活のリズムの中にうまく組み入れることができず,まだ,行けずにいる状態です。最初のきっかけを作ることができれば,その後も組み入れられるのでしょうが,それがなかなかできないのです。

そんなところに,「育児をしっかりとしなきゃ!」とか「早期教育で子どもの力を伸ばさなきゃ!」とか,「こういう子どもをめざさないといけない!」というような意識をもつようになると,そこには,ギシギシとした子どもとの関係が生まれてくることが,容易に想像できます。
子育てに辛さを感じてしまう状況です。真剣に取り組もうとすればするほど,その辛さと正対するようになるわけです。

私の場合,現在のところ,全く辛さを感じずにいます。それどころか,初めての女の子(第1子と第2子が男の子で,この子が第3子)で毎日メロメロになっています。確かに,育休に入って,たかだか2ヶ月であるということは,大きな要因としてあると思います。ですが,先に書いた2点について,自分なりにクリアできる状況にあるということも大きいと考えています。

まず1つ目。閉鎖性について。
育休パパ仲間を身近で見つけることは,なかなか難しいです。


左の表で示されているように,昨年度の男性育休所得率は,2.65%ですから。それでは,ママ友…と言っても,まだ,支援センターにも行けていない状況ですから,それも無理なわけです。

ただ,私には,強力なサポートがいました。しかも,すぐ隣に。
それは,妻です。聞けば,何でも答えてくれます。不安も喜びも共有してくれます。

妻が第1子,第2子,そして,今の第3子と休んでいるときに,自分がどれだけ同じ役割となれるような振る舞いができたかと考えると,痛烈な反省の気持ちしかありません。きっと,これまでの私のような方々は,今もたくさんおられるのでしょう。たった1人のサポートの存在で,本当に助けになります。自分の身近にいてくれることが望ましいでしょうが,とにかくどんな関係でも「つながる相手がいる」ということは,助けに必ずなります。そんな人をしっかりと見つけることは,とても大切なことだと強く感じています。

2つ目。「よりよい子育て思考」について。
第1子のとき,何も分からない中でも,「よりよいことをしていこう」,「子どもにさせてあげよう」と息巻いていたことを思い出します。「よりよい子育て思考」をレベルで表すと,「MAX」でした。
第2子のとき,同じ気持ちで接しているつもりでも,どこか,「2度目」の意識があり,「余裕」と表現していいものなのか考えてしまいますが,そんな気持ちが生まれてきました。
第3子の今,「まぁ,大丈夫でしょう!」という気持ちがかなりの割合であり,「気楽」という気持ちになっている感じです。
育ちの見通しが立てられるようになると,気持ち的には気楽になってくるということでしょう。決して,子育てをおろそかにするという意味では全くありません。あくまで,気持ちです。その心構えが,向かい合うことをほどよくさせていくと感じています。


さて,長々と育休中に感じたことを書いてきましたが,このことは,教育の場でも共通しているなぁとも感じています。特に,小学校において。

小学校の学級担任で,さらに,学年1学級だったりすると,学年打ち合わせも無く,相談することも無いといったことがあります。そんな時,やはり,身近な校内で低学年ブロックのような区分けで考えて,相談できる体制が作れたら同じ効果があるでしょう。校内で難しければ,他でも構いません。どんな関係でも「つながる相手がいる」ということは,助けに必ずなります。

「子どもたちの学力をつけなければ!」「子どもたち同士が安心して話し合えるような関係をめざさなければ!」等々,学級担任であれば,必ずめざすことでしょう。そのとき,自分が辛くなるくらいに考えすぎていませんか?そこに,「気楽」さは,ありますか?その心構えが,子どもたちと向かい合うときの一挙手一投足,一言,表情……いろいろなところにほどよく作用してくるはずです。

育休を通じて,今,感じていること。

来年の4月の復帰時に,家でも職場でも,大事にできますように!!


                             (太田 充紀)



2016年10月15日土曜日

チーム研修でアクティブに

勤務校では,国語,算数,理科,特別支援の4チームに分かれて校内研修を進めています。



これまでは,学校全体で1つの仮説を検証するスタイルで研修を行ってきました。

それぞれの教室で実践する上での縛りが多いのですが,全学級にそれがフィットするかというとそうでもない。結果,徒労感ばかりが募る……。もしくは,「みんなに見られるときだけ」理論どおりの授業をつくり,それ以外の日常実践は全くそれとは違う授業……。そんな悪循環が見られていました。



それなら,もっと自由度が高く,日常の授業改善に生かせるスタイルの研修を目指そうということで,チーム型研修がスタートしました。



私は「チーム国語」に所属しています。

チーム全体で共有している目標は,次の通りです。

① 日常授業の中で,全児童が言葉を使って表現する授業づくりをしよう。

② 日常授業の中で,全児童が「聞くこと」の大切さを意識する授業づくりをしよう。



チームの中で「仮説」は作りません。そこに時間をかけるのではなく,それぞれのクラスの実態を考えて,①や②に近づけるためにはどんなことをしたらいいかを考えることにしています。チームの中では,「何か面白そうな先行実践を見つけてきて真似することから始めてみよう」「その実践を最低1ヶ月は続けてみよう」を合言葉にしています。先行実践を追試して,その成果はどうだったかを確かめる作業を月1~2回の研修の時間に加えて,自主的な集まりの中で行ってきました。

これまで半年間研修を続けてきた中で,このような姿が見られるようになってきました。



これまで指導書通りの流れでしか授業をしたことがない先生が,子どもが意欲をもてそうな活動を設定しようと先行実践を調べたり,自分で開発したりするなど,工夫するようになった

教務主任の先生が,国語科の指導のポイントを模擬授業や資料を使って発信してくれた

チーム内でまわしている「実践交流ノート」(交換日記みたいなものです)に,今悩んでいることや,試してみたことについて書いてくれる先生が増えた

子どもの書いたものをもってきて検討したり,授業ビデオを撮ってきて検討したりするなど,子どもの実際の姿を見て話そうという姿勢が増えてきた

チーム内の先生同士の情報交流が活発になってきた



「先生たちが,主体的に研修に取り組むようになってきた」という点では,一定の成果はあったのではないかなと思います。(もちろん課題も多くありますが。)



子どもたちに「主体的で対話的で深い学び」を求める私達。

その私達がどのように学んでいくか。

これは,非常に大切なことだと思います。

もっとみんながアクティブに学びに向かっていけるように,今後もいろいろと作戦を練っていきたいと思っています。

(小林 雅哉)

2016年10月1日土曜日

「私と仕事どっちが大事?」


どちらも大事なことが出てきた場合,どう答えたらいいのだろう?そんな場面は珍しいケースではない。どちらとも言えない…。そんな場合どうしますか?



私は,昨年度1年間育児休暇を取りました。男性としては珍しいケースだと言われます。男性の育児休暇取得率は短期・長期合わせて2%前後。1年間取得する人は,さらに少なくなります。(平成27年度雇用均等基本調査によると男性の育児休暇取得率は2.65%。その中で1年以上育児休暇を取得した人は2%。1万人に約5人。)自分が育児休暇を取得しようと考えたのは,様々な要因があります。環境・時期・周囲の理解,何より育児休暇を取りやすい公務員だったこともあり取得しました。育児休暇を取得したくても取れない環境にある人はたくさんいることを理解しつつ,取れる人は取らなければという思いもありました。



 育児休暇から復帰して職場も変わり,半年経過。復帰しての半年は,「これまで通り」の仕事と「現実」の仕事との間でさまよい続けた半年でした。これまではここまでやっていた。でも,保育所の迎えに行かなければならない。病院に行かなければならない。これまで以上に子どもに目が向き,自分の仕事と家庭を意識する半年。これまで以上に効率を考え,仕事の軽重をつけ,取捨選択していく毎日。母親として育児休暇を取得し,職場に復帰している先生方に頭の下がる思いを抱きつつ,自分なりのスタイルを今現在も模索しています。



 仕事と育児どちらが大事でしょう?自分はどちらも大事だと思っています。後は,その時々のバランス。そして,調整。今日は,子どもが耳鼻科に通院したため,仕事:少年団:家庭は,3:3:4のバランスで1日を過ごしました。明日は,少年団の大会が1日あるため,仕事:少年団:家庭は,1:8:1になるでしょう。もちろん,これにやらなければならないこと,やりたいことが入ってくるので,この割合ではないことも考えられます。



「私と仕事どっちが大事?」には,「どっちが大事?」ではなく,そう聞いた背景を考えることが必要だと思います。育児休暇を取ってから,子ども・保護者・同僚の言葉や行動に「どうして?」と背景をより考えるようになりました。「期日まで提出物を!」と言いますが忙しい時についうっかり見落とすことや忘れてしまうこともあります。忘れ物をチェックしてくださいと言っても,夜遅くに帰ってきて話を聞けないことだってあります。自分の場合は,育児休暇の時間は,これがすべて!絶対!ではなく,柔軟に考えられる「幅」を学ぶ時間だったように思います。1つのことを徹底することも必要ですが,その場・その時・その子ども・保護者・同僚に応じて柔軟に考える先生がいてもいいと思いますが,どうですか?
                             (木下 尊徳)