2017年11月4日土曜日

前から見るのか後ろから見るのか~見通しと振り返り~


1 学びの仲間さがしで「見通し」をもつ

 最近、単元の冒頭では、めあてを確認したあと、どのように学習を進めるのか「サークル図」を板書して説明しています。プロセスを見える化するあの図です。PPTやWORDには最初から入っていますね。この図の中には、学習活動をざっくり一言で書いておきます。子どもたちはこれをノートに写します。



「自分が得意だ、やれそうだと思うサークルには黄緑を塗ります」「苦手だなぁ、手伝って欲しいなと思うところには黄色を塗って下さい」と指示します。「では、立ち歩いてノートを見せ合って下さい。自分と違う色を塗っている友達が、学びのパートナーになります」と活動を指示します。この立ち歩きの中で、互いに次のような見通しをもって欲しいと子どもたちには伝えています。

 A 「自分が黄色で相手が黄緑に塗られている活動」…相手の意見を参考にする
 B 「自分が黄緑で相手が黄色に塗られている活動」…相手に貢献する

 こうして、学習計画を立てて単元の学習に入ります。

2 「ふりかえり」はその実現度を言語化して次の課題設定へつなぐ

 1時間の授業の中で、この時の相手を思い出しながら教え合ったり相談したりして学習を進めます。授業の最後、5分ほどの時間で「振り返り」を行います。その振り返りでは、サークル図とともにノートに書いておいた単元のめあてにどのくらい近づいたかという達成度を書くとともに、誰とどのように学び合ったのかについて書きます。また、一人で進めた場合もそれが有効だったかどうかを書くようにします。
 子どもたちは、振り返りをノートに書いたら、私のところにもってきます。私はその文章に目を通して、共感的にコメントし、文末に赤ペンで「だから次は…」と書きたします。ノートを持ってきた子どもは席に戻り、この言葉に続くように次時のめあてを書く、というわけです。最近では、はじめから次時のめあてを書くようになってきた子もいます。
 このように、「振り返りと次時の課題の連続性」は新学習指導要領下でも特に重視されることが既定の路線となっています。中教審答申で示された「深い学び」の視点は次のように述べられています。

① 学ぶことに興味や関心を持ち,自己のキャリア形成の方向性と関連付け
ながら,見通しをもって粘り強く取り組み,自己の学習活動を振り返って
次につなげる「主体的な学び」が実現できているかという視点。

 これは「授業改善の視点」であり、教育課程全体で取り組むべきものですので、本稿で紹介した手法はほんの小さな工夫に過ぎませんが、子どもたちの資質・能力を育むために、これまで以上に「学習方略」を意識的に伝えていく必要を感じています。

3 有効? 客観的な検証の視点

 さて、このように小さな手法をお伝えして「必要を感じています」と括るのは、blogという媒体の性質から考えて許される範囲かなと思うわけです。が、手法を伝えている以上、効果があったのかどうか説明しなくてはならないのでは? という声も聞こえてきそうです。果たして藤原学級において、育てようとした「学習方略」は子どもたちに育っていると言えるのかどうか。板書とノートに「見える化」したというのなら、子どもたちのノートに学習方略を使っているところが見えるかどうかを検証すべきではないのか、と。
 実は、昨年度から私の学級に、国語の時間に観察に来ている学生が二人います。国語科教育法の卒業論文を書くための取材です。このうちの一人が、藤原学級を特徴付けるものに、「意図的な〈学習方略〉の伝達」があると気が付いたそうで、授業の記録とともに、子どもたちのノートを毎時間分撮影していっています。中間発表が11月3日に終わったばかりなのですが、果たしてどんな結論が得られたのでしょうか。卒業論文が仕上がったら読ませてもらおうと思います(全然育ってなかったよ、という結論だったりして)。
 どんな結論が導き出されたにせよ、それを出発点として、もう一つ考えを深めていきたいと思います。…子どもに行わせている学習活動を、教師自身もする、ということで。

(藤原友和)

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